ステーが届かねぇし、尻にあたって居心地悪いし。
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今回の記事はリアキャリアを取り付けます。
ちょっと手間かけて。
前説
多くの700Cホイールのクロスバイク、特に身長160cm以下の方に向けたサイズの自転車はある問題を抱えがち。上の画像にも写ってるんですが、サドルの下にあるリアキャリアの取り付けネジ(キャリアダボと呼ばれます)の位置が、かなり無理矢理なんです。
最強の非電動ママチャリにするぞ!と購入したCHARGE BIKESのGRATER 1。このフレームはXSサイズですがホイールは大きめフレームと同じく、700Cサイズ。
サドルを低くするために、シートチューブの上端位置が低く、シートステーの角度が寝ます。
大抵はその交点、シートクランプの周辺にキャリアダボが付きますから、同じ自転車でも大きなフレームサイズと比べると、相対的にかなり低く、遠くなってしまうのです。
そういう自転車で通勤カバンや買い物袋を運びたい。
選べる選択肢は割とたくさんあって、対応するリアキャリアを使ったり、そもそも前カゴで対応して後ろにつけるのを諦めたりすれば良いのですが、今回は「前後にカゴ必須」。なので、後ろ側をどうにか頑張ってみようと思います。
で、今回使うリアキャリアはミノウラのMT-800N。
5年以上前に購入し、通学クロモリMTBにつけてたやつです。ガッコのゴミ捨て場で拾った洗い物カゴを装着して近所のスーパーから学生時代に安い弁当を輸送していました。これの前に乗ってたMTBルック車につけたのが最初だった気がするので、買ったのは相当前です。
しばらく使っておらず、保管していました。物置から出てきたから使います。
問題
んで、冒頭の画像に戻ってくるのですが、ご覧の通り付属ステーがダボに届きません。MT800Nにはダボに頼らずシートステーを掴んで固定するクランプも付属しますが、シートステーにも全く届きません。
幸いなことにエンド側にはキャリアやフェンダーに使えるダボが予めついています。これが無かったFUJI Feather CX+はキャリアダボを後付するステーを使ってフェンダーとリアキャリアを共締めしました。
が、これも小サイズフレームの宿命か、今回のオーナーさんのサドル高では、リアキャリアがお尻とキスしそう。近すぎる。うちのオカン尻がでかい説がありますが、比較的小尻なはずの私でも当たる。かなりうざいです。
というわけで
- ステーを作って取り付け可能にする
- キャリアの取り付け位置を後方へ50mm移動
この2点を満たします。
とりま延長ステーを作ります。
使うのがこれ。
サンバー買った時にリアクォータ窓についてたやつです。たぶんスプレーボトルとか引っ掛けてたんでしょうね。ボディの鉄板に穴開けてタッピングビスでついてたのを、外してとっておきました。
「つきゃあ良いんだよ!」系オーナーだったようで、潰しも曲げもテキトー。たぶんそのへんのホームセンターでタオル掛け用として売ってるステンレスパイプです。
持っててよかったパイプカッター。端っこをカットします。
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ところでどう潰したらこんなウニャウニャに潰せるんでしょうか。板金ハンマーで叩いたってもうちょっと平らになりそうな。
きれいな丸パイプになりました。
定規を当てて大雑把に測定した結果、250mmのステーができればリアキャリアは良い感じに使えそうです。引き戸のレールを利用して転がらないようにしたら、定規で270mmにけがいて長さを揃えました。
250mmで両端10mm余らせて、270mm。
パイプカッターでポロッと切断。
ところでみなさん、長い材料をケガく時、どうやってるんでしょうか。
丸いと転がるし、なかなか測りにくいと思うんだけど…。
端から20mmの位置まで万力に加えてギューっと潰しました。
潰れたら真ん中にポンチ打っといて。
下はこれをやる前に端材で実験したときの画像。
角は旋盤バイト加工用に持ってたコレで落とします。
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万力に咥えて金ヤスリで頑張っても作れそう。本当は応力集中を防ぐべく、潰したラインがV字になるように潰したいんですけど、そんなに力かからんだろうから妥協。V字に潰す工具もあるみたいですが、まぁ鉄板とかエンプラの分厚いのをV字に切れ込み入れたりすりゃ十分だろう。
いい感じのステーができましたよ。
V字潰しに加えて変形を防ぐなら、端っこをロウ付けすると良さそうです。が、お手軽にスグ作ろう勢なのではしょりました。
仮置き。高品質な感じがするので満足。パイプなのでそんなに重くもありません。測ってないけど。
ちなみに、キャリアダボ部分はシートクランプ後方に増設できるコレを採用。
他ブランドで出てるのはシートクランプの下にキャリアダボがつくタイプで、構造的にそっちの方が望ましい気がします。振動を受けてもシートクランプごと緩むことが少なそう。
grunge(グランジ) キャリアダボ付シートクランプ V23P039 クランプ径 31.8mm
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が、ダボの位置が下がるとステーが遠のきます。なので今回はダメ。シートチューブが長い、例えばホリゾンタルフレームやミニベロに使うなら都合良いでしょうね。
ACORをFeather CX+に続いて採用です。
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ステーはいい感じに伸びましたが、キャリアの水平を保ちつつ、後方に下げるのが今回の目的。今度はエンド側のキャリアダボを後ろへ移動します。
試作ではおなじみ、工作用紙。寸法が取れたらFusion360で簡単にモデリング、図面にします。
実はFusion360はなんだかんだ趣味と仕事含めて3年ぐらい使いました。スケッチで工作用紙をトレースして、押出でモデリング、図面化します。Fusion360の図面機能単体で出力するとちょっと線が太くて、私の手加工用のテンプレートに向かないのいので、PDF出力後にAdobeのイラストレータでパスの太さを調整しています。
ちなみに、シミュレーションで応力解析ごっこをしてみました。確かテキトーに600Nかけた。真上からまっすぐの力なら、60kgかけてギリギリ壊れないみたいです。今回使用する光モールの6063アルミ材は、Fusionの物理マテリアルにありません。自分で設定もできるのですが、上の解析結果はお手軽に響きが似てる6061です。
なお、私はちゃんとした工学教育を受けていないので、材料工学の知識は独学と聞きかじりに、塩振って握ったもの。画像ではフレーム側のネジ穴、安全率がキツいとの結果が出ています。この結果をどう解釈するか?が、Fusion360で素人がシミュレーションを回す場合の大問題です。安全率が1切ってる穴の角にフィレットかけるだけでアッサリ問題なくなったりしますし、実際にものを作るにあたってそんなまっすぐ力かかりません。
この解析に限らず、いろんなモデルで100回ほどシミュレーション静解析を回した結果、ナァナァで済ませていた構造力学を基礎からやろうとの結論に至りました。
例題でわかる! Fusion360でできる設計者CAE
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この本(非常にわかりやすい)の冒頭にも簡単な材力の説明があるんですが、シミュレーションをいっぱいやった結果、手計算できるくらい構造設計の知識ほしい!!って感じになりました。がんばります。
さておき、キャリアステーはぶっ壊れてもたいした損害は無さそう。鋭利に折れたり、フレーム側のネジが外れた場合は最悪ふくらはぎに刺さりますが、作って様子を見たいのでさっさと作ります。
印刷した図面をホームセンターで売ってる3mmのアルミ板にスティックのりで貼り付けて、弓ノコで切り出してヤスリできれいにして、ボール盤で穴開けて完成。
写真貼るのが面倒になってきたのでinstagramの投稿でどうぞ。
できた。
フェンダーステーはもともとの取付けダボに共締めしましたが、作ったステーと干渉するのでモンキーレンチで咥えてぐいっと曲げました。
エンド側のステー、アルマイトを削ってしまった部分をどうするか。
プライマー吹いて塗装するか、アルマイトキット買って試してみるか…うーん。以前SV400Sのウィンカーを移設するのに使ったときはなんの後処理もせずに使ってましたが、特に腐食とかはしてないように見えたんだよなぁ…。
端材パイプから作った延長ステーが思ったよりギリギリですが、いい具合につきました。
後はカゴ載せて、スタンド切って、だいたい完成。
ではまた。